中国で製造されるワイヤーハーネスやケーブルアセンブリでは、GB(国家標準)規格に基づくカラーコード体系が使用されています。国際規格であるIECやJIS規格と類似点がありますが、重要な違いも存在するため、正確な理解が不可欠です。
本ガイドでは、中国式ワイヤーカラーコードの体系を包括的に解説し、日本のJIS規格や国際IEC規格との比較を行いながら、安全で正確な配線作業のための知識を提供します。
1. GB規格の概要
中国のワイヤーカラーコードはGB/T 6995に基づいて規定されています。この規格は、電力線、接地線、中性線、制御線のそれぞれに特定の色を割り当てており、安全性と識別性の確保を目的としています。
GB規格はIEC 60446をベースにしていますが、中国独自の拡張や産業別の追加規定が含まれています。特に高圧配線や産業機器の分野では、GB規格に準拠することが法的に義務付けられています。
GB/T 6995の最新版を参照する
製品の対象市場に応じた規格を確認する
産業別の追加規定を確認する
2. カラーコード一覧表
GB規格における主要なカラーコードは以下の通りです:保護接地線(PE)は黄緑、中性線(N)は淡青、L1相は黄、L2相は緑、L3相は赤です。これはIEC規格のL1=茶、L2=黒、L3=灰とは異なります。
単相配線では、相線(L)に赤または茶を使用し、中性線(N)に淡青を使用します。接地線は常に黄緑の二色線で識別されます。
保護接地線には必ず黄緑を使用する
中性線には淡青を使用する
三相配線では黄・緑・赤の順序を遵守する
3. IEC・JIS規格との比較
GB規格とIEC規格の最大の違いは三相電力線の色です。IECではL1=茶、L2=黒、L3=灰を使用しますが、GBではL1=黄、L2=緑、L3=赤を使用します。日本のJIS C 0446も独自の配色を持ちます。
接地線と中性線の色は、GB・IEC・JISの三規格で共通しており、接地は黄緑、中性は淡青(水色)です。海外向け製品を製造する場合は、出荷先の規格に合わせた色の変更が必要です。
輸出先の国別カラーコード規格を確認する
規格間の相違点をチームに教育する
マルチ規格対応の図面を作成する
4. 電力配線のカラーコード
電力配線では、電圧レベルによって追加のカラー規定があります。低圧(~1kV)ではGB/T 6995に準拠し、高圧(1kV以上)では追加の識別手段(テープマーキングなど)が要求されます。
DC配線の場合、正極は赤、負極は青または黒が一般的に使用されます。ただし、太陽光発電システムやEV充電設備では、専用の規格に基づく色分けが必要です。
電圧レベルに応じた色を選定する
DC配線の極性色を明確にする
高圧配線には追加のマーキングを施す
5. 制御・信号線のカラーコード
制御線や信号線には、電力線と区別するための独自のカラーコードが使用されます。一般的に白、灰、紫、橙などが制御・信号用途に割り当てられ、電力線で使用される赤・黄・緑とは明確に区分されます。
通信線やデータ線では、ツイストペアやシールドケーブルの内部導体に特定の配色パターンが使用されます。RS-485やCAN通信などの産業用通信プロトコルでは、業界標準の配色に従うことが推奨されます。
制御線と電力線の色を明確に区分する
信号線のペアリング配色を文書化する
通信プロトコル別の推奨配色を確認する
6. 自動車用途での色分け
中国の自動車産業では、GB/T 25085に基づく独自のワイヤーカラーコード体系が使用されています。この規格は、車両の電気系統における安全性と保守性を確保するために、各回路に特定の色と色の組み合わせを割り当てています。
自動車用途では、単色のほかに二色のストライプ線も広く使用されます。例えば、赤/白は点火系統、緑/黒は照明回路など、回路の機能に応じた配色が規定されています。
自動車用GB/T 25085規格に準拠する
OEMごとの独自カラーコード規定を確認する
二色ストライプの色組み合わせを図面に明記する
7. よくある誤認と対策
最もよくある誤認は、GB規格とIEC規格の三相配色の混同です。GB規格の緑(L2)をIEC規格の接地と混同すると、重大な安全事故につながる可能性があります。特に海外製機器の配線を扱う際は注意が必要です。
もう一つの一般的な問題は、旧規格と新規格の配色の違いです。2008年以前のGB規格では一部の色が現行規格と異なるため、既存設備の改修作業では旧配色の確認が不可欠です。
GB規格の緑(相線)とIECの緑(接地)を混同しない
旧規格の配色を既存設備で確認する
異なる規格の配線が混在する場合は明確にラベリングする
8. ラベリングのベストプラクティス
カラーコードだけに頼らず、ワイヤーマーカーやラベルを併用することで、識別の正確性と保守性を向上させることができます。特に多回路のハーネスでは、各ワイヤーに固有の識別番号を付与することが推奨されます。
耐熱ラベル、収縮チューブ印字、レーザーマーキングなど、使用環境に応じた適切なラベリング方法を選択することが重要です。中国の工場では、自動ワイヤーマーキングシステムの導入が進んでいます。
各ワイヤーに固有の識別番号を付与する
使用環境に適したラベリング方法を選択する
ラベルの耐久性テストを実施する
